【Alife Health】不妊治療の改善を目的とした人工知能ツール

Alife Health

Alife Health(アライフ・ヘルス)社は、「体外受精(IVF)をはじめとする不妊治療の改善を目的としたAIツール」を提供している。

現在、およそ8家族に1家族が不妊症に悩んでる。健康なカップルの平均的な自然妊娠率は1周期あたり20%で、女性の流産は毎年約1%ずつ増加している。さらに、黒人やラテン系の女性は、不妊治療にアクセスしたり、体外受精による妊娠を成功させる可能性が低いと言われている。

現在、不妊症の治療には大きな問題がある。体外受精は、費用が非常に高く、米国での費用は、1サイクルあたり10,000~15,000ドルで、平均3~5サイクルを受けなければならない。肉体的にも精神的にも負担が大きく、保険が適用されることはまだほとんどない。体外受精による妊娠の成功は、各患者に最適な治療を提供するために、医師が下す複雑な臨床判断に依存している。

Alife Health社は、高度な計算手法を用いて、体外受精のための最新のオペレーティングシステムを構築し、世界で1億8千万人の不妊に悩む人々をターゲットに、生殖能力の向上を目指している。 Paxton Maeder-York(パクストン・メーダー・ヨーク) CEOは、「私たちは、他の数え切れないほどの医療画像分野で高度な機械学習を応用してきましたが、家族や生殖に関する健康の向上にどのように利用できるかについては、まだ表面をなぞり始めたばかりです」と述べている。

体外受精は、データに基づいた個別化医療によって改善可能な点が多くあると期待されている。 同CEOは、「体外受精を改善することで、働く女性の家族計画のプレッシャーを軽減したり、LGBTQ+コミュニティでの家族作りをサポートしたりすることができます」と述べ、「体外受精を改善することで、両親が健康な子供を持つという夢を実現できる可能性があります。私の家族にも体外受精の経験者が何人かいますが、不妊治療の改善が社会に与える影響を身をもって感じています」と締めくくった。

Alife Healthは、臨床医が患者の成功の可能性を最大限に高めながら、低コストのパーソナライズされた治療法を提案し、臨床上の意思決定を強化することを目的としている。

Paxton Maeder-York CEOは手術ロボット会社Auris Healthで初の臨床エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、同社を2019年、ジョンソン・エンド・ジョンソンに34億ドルもの価値をつけて売却することに貢献した。

その後、ハーバード大でデータサイエンスと経営学の両方の修士号を取得。コンピュータによる機械学習を医療分野で最大に活かせるのは何かを追求した結果、体外受精の向上を専門に扱うスタートアップを設立した。

Alife Health社は、 Tract共同創業者のEster Wojcicki(エスター・ウォジツキ)の娘であり、23andMe共同創業者兼CEOのAnne Wojcicki(アン・ウォシッキー)氏もスポンサーになっている。

Paxton Maeder-York CEO

スタートアップ バリュー

AIと不妊治療

現在、体外受精のプロセスは非常にマニュアル化されており、クリニックごとに大きく異なる。なぜなら、ある地域のあるクリニックで行われていることが、ある患者にとっては良いことかもしれないし、別の地域の別のクリニックで行われている手順が、別のグループの患者にとっては良いことかもしれないからである。

これらの学びをどのようにして分散させ、ツールとして臨床家に還元するかという問題を、AIが解決した。AIは、何百万人もの患者の経験を調べてパターンを見つけ出し、新しい患者が来院したときに、過去のすべての症例や臨床実践から得た学びを活用して、患者が成功する可能性を最大限に高めることができる。

胚の選定

通常の体外受精サイクルには複数のステップがあるが、Alife社はAIを活用すれば、最初から最後までの各ステップを最適化すると考えている。同社は、体外受精のプロセスにおける単一ポイントのみのソリューションではなく、体外受精のケアをパーソナライズし、患者への透明性を促進するためのエコシステムの構築を目指している。

これには、移植可能な胚の優先順位付けから、患者に対する教育までが含まれる。機械学習を用い、世界中の何百万もの症例から得た教訓を取り入れている。これは、医師や胚培養士にとって非常に大きな財産となる可能性を秘めている。

Alifeの技術は、経験豊富な医師が行う臨床判断に代わるものでは決してなく、むしろ医師にオプションをもたらすツールである。

優秀なチーム

Alife Health社のチームには、ハーバード大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学、ジョンズ・ホプキンス大学のエンジニアや科学者が参加しており、患者に臨床的価値をもたらすために、有力なクリニックや最先端の医師・研究者との臨床提携のコンソーシアムを構築している。

さらに、米国生殖医学会からDEIタスクフォースに任命され、ボストンIVF理事会認定生殖内分泌学者でハーバード大学医学部の臨床教授であるKim Thornton(キム・ソーントン)博士もアドバイザーになっている。

COMPANY

社名:Alife Health/アライフ・ヘルス

設立:2020/ サンフランシスコ US

創業者:Paxton Maeder-York

資金調達:950万ドル(シード 2021/5)

分野:体外受精の臨床用AI

(Photo: Alife Health, https://www.alifehealth.com )


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