旧型携帯電話でも金融アクセスを平等にする【Felix Macharia/Kotani Pay社】

Felix Macharia(フェリックス・マチャリア)

「フィーチャーフォンでも最新スマートフォン同様に扱える決済システム」を提供するコタニ・ペイ社(ナイロビ、ケニア)の創業者(写真中央)。

ERC20トークンに焦点を当てたブロックチェーンの特別研究員を務めた。
EOS、Telos、ICONネットワークのノード検証会社であるEOS Nairobiを設立。

<創業者インタビュー>

Leader's Viewpoint

創業の背景

アフリカの人口12億人のうち、7億7千万人が携帯電話の契約者ですが、そのうち4億4,000万人はフィーチャーフォンを使用しています。

フィーチャーフォンでは、インターネットへのアクセスが制限され、ストレージ容量も限られています。ブロックチェーンソリューションや暗号資産は、スマートフォンの利用者を想定して作られているため、アフリカの莫大な数の人々が、これらのサービスにアクセスできません。

私たちは、この大規模な人々に金融包摂を提供し、ブロックチェーン上の資産やサービスに簡単にアクセスできるようにするために、コタニペイを立ち上げました。

6人で始まったコタニペイは、短期間で驚異的な成長を遂げました。私たちは、2つの主要なハッカソンで総合優勝し、他のハッカソンでもいくつかの賞を受賞しました。ユニセフイノベーションファンドから資金提供を受け、プレシードステージでVC資金を調達したばかりです。

現在、ケニア、ガーナ、ジンバブエでサービスを提供しており、大陸でのリーチとサービスを拡大に取り組んでいます。

差別化ポイント

現在、アフリカのインターネット普及率は約40%で、2025年には11%伸びると予想されています。アフリカ大陸では、生活水準に比べてインターネットのコストが特に高くなっています。

例えばケニアでは、1ギガバイトのデータにかかる平均コストが約2.73ドルであるのに対し、人口の86%が1日5.50ドル以下で生活しています。

インターネットが普及していないことと、インターネットにかかる高額な費用が、SMS(ショートメッセージ)やUSSDなどのモバイルサービスをいまだ、盤石なテクノロジーサービスとして君臨しており、今後もその状態は続きます。

私たちのサービスは、インターネットにアクセスできず、ブロックチェーンや暗号資産にアクセスできないという問題を、そのUSSD技術を使って解決します。

USSDとは、GSM(Global System for Mobile Communications)のプロトコルの一つで、テキストメッセージの送信に使用されます。USSDは、フィーチャーフォンとスマートフォンで使用できます。

最新のスマートフォンを持つ多くのユーザーでも、データバンドルの購入、口座残高の確認、資金の引き出し、送金、請求書の支払いなどに、いまだUSSDサービスを利用したいと考えています。

旧型のスマートフォンを使用するユーザーにとっても、特別なアプリケーションをインストールする必要がなく、デバイスのストレージ容量も必要ありません。

サービスの展望

私たちは、スマートフォンを中心としたブロックチェーンや暗号サービスからの移行を可能にし、アフリカ大陸の大多数の人々が人生を変えるよう、金融サービスへのアクセスを民主化します。

私たちは、可能な限り多くのアフリカ諸国にサービスを提供し、5年ほどでほぼ完全にカバーすることを目指しています。私たちのサービスが、サービスを提供する人々とその大切な人たちの生活に触れ、金融包摂を通じてアフリカ大陸の生活水準を向上させることを願っています。

(取材=宮尾卓志 写真=Kotani Pay)


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