
Morpheus Space(モーフィアス・スペース)社は、最先端の電気推進と人工知能を融合させた宇宙ソリューションパッケージを提供している。
2019年5月、実業家のホリエモンこと堀江貴文氏が出資するインターステラテクノロジズ社の小型ロケット「MOMO」3号機が、北海道から民間単独として国内初の打ち上げに成功した。

2020年には人類で初めて、民間企業が製造したロケットが有人宇宙飛行に成功し、宇宙ビジネスを大きく転換させた。今や宇宙産業は政府ではなく民間企業が牽引していく時代となっている。
Morpheusの創業者兼CEOのDaniel Bockと共同創業者であるIstvan Lorinczもまた宇宙に魅了され、宇宙をできるだけ身近にし、すべての人に宇宙内モビリティを提供するため、2018年にスタートアップを起こした。
同社はスフィアエコシステムの立ち上げを発表し、エンドツーエンドの自律的なコンステレーション運用を促進するための世界初のエコシステムを製作、強化している。
NASA主催のスタートアップウィナーとして、9万ドルの賞金を得た。

アジャイルコンステレーション
最先端の電気推進と人工知能を融合したソリューションパッケージ。これにより、衛生サービス・プロバイダーは、衛星コンステレーション全体を一つの組織単位として運用することができる。
高効率の推進システムにより、各衛星は無数の軌道マヌーバを行うことができ、自動化されたトレードオフによる「目的優先」のミッションプランニングを可能にする。
アジャイルコンステレーションによって柔軟化された衛星ネットワークを、AIは最大限利用。再訪問頻度から目標物の観測までの範囲で、衛星コンステレーションを最適に変形させる。
競合
Morpheus社によれば、市場には推進装置を製造している企業は他にも存在する。
しかしそのほとんどは、推進剤としてさまざまな種類の加圧ガスを使用しており、大きなタンクやバルブ、パイプを使用する必要があるという。
つまり同社の非常にコンパクトな設計に比べ、それらのシステムは「かさばる」傾向にある。
固体金属はタンクに入れる気体よりもはるかに密度が高いので、Morpheusの推進システムは同じ体積と質量でより長い寿命と推力を提供できるとのことだ。
また、加圧された気体には、より多くの単一故障点があり、例えば、バルブが壊れたり推進薬タンクにゴミが入ったりすると、スラスターに推進薬が供給されなくなる。
推進システム全体が使い物にならなくなる。
Morpheus製品の利点は、各モジュールが自給自足の推進システムであるため、推進システムアレイの故障点が1つもない。
同社のシステムは、燃料源としてより効率的であるだけでなく、障害物に対してより信頼性が高いと述べた。
展望
Morpheus Space社は、今年度末には宇宙での推進システムの数量で業界トップになると本気で考えている。
日本企業パートナー
同社は現在、厳選した数社の日本企業と話し合いを行っている。 Morpheus創業者兼CEOのDaniel Bockによれば、「日本で起きている宇宙開発の技術革新のレベルには、目を見張るものがあると言わざるを得ない」という。
「中には、一般市民を直接巻き込むビジネスモデルを確立した企業もある」と、驚きを見せた。
衛星がデータのサプライチェーンの途中にあるのではなく、直接的に人々にサービスを提供できるようなユースケースを見つけるのは非常に難しいことを踏まえ、Morpheus社は日本のパートナーとの関係を強化し、この市場で足場を固めたいと考えている。
スタートアップ バリュースフィアエコシステム
よりシームレスな体験をユーザーに提供するために設計された5つの製品および機能で構成されている。

- SPHERE Go:スケーラブルで効率的な2つの電気推進システム。一般的にユーザーにとって馴染み深いMultiFEEPとNanoFEEPの設計から選択できる。
Morpheus社の核となる推進システム。デザインによるカスタマイズが可能で、パフォーマンスを発揮するため、モジュール式のビルディングブロックに基づいた設計を採用。
2. SPHERE Direct:自動巡回に依存しない、オンデマンドで使用できるプラグアンドプレイのプラットフォーム。
推進システムに組み込まれた自動操縦システム。ユーザーの衛星に柔軟性と自律的な軌道制御能力を提供する。
例えば、ユーザーが目標軌道さえ指定すれば、あとはおまかせ状態にできる。販売されるすべての推進システムに組み込まれ、ユーザーが必要と判断したときにオンデマンドで使用できる。
3. SPHERE Flow:動的な目的を達成するためにコンステレーションを常に変化させるミッション設計SaaS。
ネットワーク化された衛星を単一の管理しやすいエンティティに融合、コンステレーション全体の動的再構成を可能にする。
地上サーバで運用される SaaS型ソリューション。
4. SPHERE Safe:アクティブ衛星ハードウェア、追加機能、HaaS(Hardware-as-a-Service)をオンデマンドで利用できるコストモデル。
衛星コンポーネントの新しい価格設定モデルで、月額利用料と使用量に応じた追加オプションの形態で提供。
最先端技術から20年遅れている業界にとってもすぐイノベーションに取りかかれるよう、衛星コンポーネントの初期コストを最大100倍まで下げることに成功した。
サードパーティサプライヤーは、自社製品をSphere Safeのパイプラインに統合し、同エコシステムを自社で利用することが可能。
5. SPHERE Gateway:最初の製品接触から衛星運用まで、カスタマージャーニー全体を自動化するウェブアプリケーション。
衛星サブシステムの販売と同時進行の設計プロセスを自動化、完全に再構築されたミッション計画および運用ツールパッケージを含み、認定サードパーティ・サブシステム・メーカー向けのマーケットプレイスとして機能する。
独自の合金(ロケット)推進薬
従来使用されていたガリウムと比較して推力が50%向上し、推力比と全推力が大幅に改善された新推進薬。無毒で、腐食性がなく、輸送や取り扱いの制約にも問題ない。
この新製品により、Morpheus社はユーザーに、5年以上の連続推力と比類のない効率が提供可能となった。
社名:Morpheus Space
設立:2018/6 LA, US
創業者:Daniel Bock, István Lőrincz
資金調達:160万ドル
分野:衛生コンステレーション
(Photo: Morpheus Space, https://www.morpheus-space.com/)