カギケノリでメタン排出を削減【スティーブ・メラー/CH4 Global社】

Leader's Info

スティーブ・メラー氏はカゲキノリを養殖し、畜産動物用のサプリメントを開発するCH4グローバル社(ネバダ州 U.S.)の創業者。 同社のカゲキノリ・サプリメントを食べることで畜産動物はメタン排出量を削減する。

メラー氏はシリコンバレーを拠点とする起業家、投資家、イノベーターであり、企業18年以上の役員職と17年以上の研究・科学学術職の、経済界と学界の両方で成功を収めている。

2012年末までP&Gのチーフ・イノベーション・カタリストとして企業幹部を務めていたが早期退職した。その後、ヘルスケア、ハイテク、サステナビリティ、イノベーションの分野で4つの会社を設立(または共同設立)し、様々な分野の諮問委員会の一員として務める他、複数のグローバル・イノベーション諮問会社と密接に連携している。

2013年初頭から、25社以上のフォーチュン200企業に、外部のテクノロジーやイノベーションをより効果的に活用してトップラインとボトムラインの成長を促進する方法についてコンサルティングを行ってきた。

2014年後半からは、各国政府にイノベーション戦略に関するアドバイスを行うようになる。オーストラリア政府のイノベーション機関であるCSIROのために新しいビジネスモデルや戦略を構築し、その影響力をグローバル化するためのコンサルティングも兼務。また、ニュージーランド政府のイノベーション戦略にも携わっており、最先端のテクノロジーを活用して、より優れた透明性、効率性、サービスを市民に提供することを目指している。

カゲキノリ

Leader's Viewpoint

スタートアップ創業のきっかけ

CSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)は、カゲキノリという海藻が反芻動物のメタン排出量を削減する効果があるという見方をしています。 また、メタンが気候変動に与える影響についても認識しています。2018年に開催された世界エネルギー会議では、気候変動による海面上昇から低地の島々を守るためにできることは何かという、太平洋諸島の首相の演説を聞きました。私は、地球の未来変えるチャンスがあることに気づき、他の創業者たちとともに「これをやろう!」と決めたのです。

業界の現状&サービスでの対応

私たちCH4は、 危機感を持って、カギケノリ科の養殖を急いでいます。また、カギケノリ科の養殖を成功させるためのすべての工程(孵化場、栽培、加工、最終製品)を並行して商業化することに取り組んでいます。 幸運にも、私たちのチームは新製品を世に送り出した経験が豊富にあるので、技術的、商業的、財務的な検討事項を包括的に管理できます。

経営理念

私たちのアプローチの指針となるのが、「危機感を持って行動する」「農家をサポートする」「パートナーシップを築く」という3つの企業理念です。

1つ目の理念:私たちは、気候の「転換点」を回避し、気温上昇を2℃以下に抑えるためには10年以内に行動しなければならないという、多くの気候科学者の見解に賛同しています。 そのため、私たちは行動を重視しています。

2つ目の理念:私たちの製品が、農家にとって実用的であり経済的にも導入しやすいものになるよう心掛けています。私たちのソリューションの採用を可能な限り容易に農家が使えるようにすることが重要だと考えています。

3つ目の理念:インパクトを加速・拡大するためのパートナーシップを重視することです。 例えば、アボリジニ文化の発展と政府との協力を専門的に進めるNarungga Nation Aborigonal Corporation(NNAC)とのパートナーシップでは、経済的、社会的、環境的に再生可能な利益が得られるように努力しています。

(取材=宮尾卓志 写真=CH4 Global)


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