
テッド・マルチノ氏はカーマ社(ナイジェリア)のCEO兼共同創業者で、 数学と経済学を専攻し、ウクライナで複数の消費者金融組織を運営してきた経歴をもつ。
2014年のウクライナ・ロシア戦争後、 マルチノ氏はオデッサで元ジョージア大統領のミヘイル・サアカシュヴィリ氏と共に非営利団体「Razom」を立ち上げるボランティア活動を行った。
2016年には、ミャンマーにおける従量課金方式のソーラー会社のパイオニアであるSolarHome社のCEOに就任。SolarHomeは東南アジア最大のPAYG型ソーラー企業となったが、2019年に彼は金融包括を推進するため、現スタートアップを立ち上げるために同社を離職した。
Leader's Viewpointスタートアップ創業の背景
イノベーションにより、アフリカの人々は「金融サービスのバリューチェーン」を向上させています。アフリカにおけるモバイルマネー革命は過去10年間で飛躍的に成長し、アフリカはモバイルマネーの革新、導入、利用において世界のリーダーになろうとしています。
アンダーバンクトを大量に抱える国では、顧客が携帯電話を使って素早く資金を調達するようになっており、デジタル金融機関のポートフォリオも拡大しています。しかし、デジタル化された借り入れに対する需要が上がるにつれ、特に貧困層における延滞率とデフォルト率の高さも明らかになってきたのです。
アンダーバンクトの信用データが不足しているため、貸し手は顧客の適切な信用評価を行うことができません。信用調査機関は サブサハラ・アフリカ地域の一部の国では10年以上前から導入されていますが、信用情報の収集率が15%を超えることはほとんどありません。
しかし朗報もあります。アンダーバンクトがモバイルウォレット、ラストマイル配送、フィンテックを利用することで巨大なデータの軌跡を残し、データポイントがデフォルト率の確実な予測因子になっているのです。
差別化ポイント
カーマ社は、アンダーバンクトの本人確認情報と取引データを連携させ、公的な機関などのデータアグリゲーターに集約するAPIです。リアルタイムで提供されるアンダーバンクトの代替データポイントを見つけられ、金融包摂を解決するための総合マーケットプレイスです。 現在、ナイジェリアで運用されている当社は、すでに6つ以上の組織とデータ交換を行っており、近々9つの組織が加わる予定です。このデータエコシステムは急速に成長しており、金融機関は銀行口座を持たない人々の顧客行動を把握することができ、それがより質の高い与信判断につながり、結果としてより多くの金融サービスを受けることができるようになります。
スタートアップの使命
私たちの使命は、アンダーバンクトや十分なサービスを受けていない人々に金融サービスを提供することです。クレジットファシリティ(与信枠)を提供するために、貸し手が必要とするデータ取得の容易化し、これまでチャンスに恵まれてこなかったすべての人々へのサポートを目指します。
(取材=宮尾卓志 写真=CARMA)