リプロダクティブヘルスケアに革命を起こす【ブリタニー・ホーキンス/ELANZA Wellness社】

Leader's Info

ブリタニー・ホーキンス氏(写真右)は、不妊治療コーチングプログラムを活用して個人に合ったサポートを提供するエランザ・ウェルネス社(サンフランシスコ)の創業者兼CEO。

同氏と共同創業者のキャサリン・ヘンディ氏は、自分たちが不妊治療を受けた経験から、リプロダクティブ・ヘルスの格差を埋めるために対策が必要だと感じていた。2021年6月、エランザ社は、世界的に有名なスタートアップのアクセラレータープログラムであるTechstars NYCを修了。

現在、ある有名大学(近日発表予定)と共同で、エランザコーチングプログラムが不妊症の悩みに関連するストレス、不安、うつに与える影響に焦点を当てた研究を行っている。さらに、米国企業と共同で、従業員にエランザを提供するための試験運用を開始している。

Leader's Viewpoint

スタートアップ創業のきっかけ

不妊治療、リプロダクティブ・ヘルス、家族計画の問題は、仕事や人間関係、経済状況、人生の目標など、人生のあらゆる分野に大きな影響を及ぼすものです。そのため、不妊治療を受けている人の90%がうつや不安に悩まされているのも不思議ではありません。

不妊というテーマはいまだにタブー視されていますが、これは大きな問題であり、今後も一層多くの関心を集めていくことでしょう。実際、米国では1年間に生まれる赤ちゃんの数よりも数百万人も多くの不妊症患者がおり、生殖年齢にある人の5人に1人が不妊症に悩まされています。不妊症の割合は急激に増加しており、2045年にはほとんどのカップルが生殖補助が必要になると科学者たちは考えています。

このような傾向があるにもかかわらず、リプロダクティブ・ヘルスに関するデータが圧倒的に不足しており、精神的なサポートもなく、不妊や家族計画に悩む人々へのライフスタイルの提案もないのが現状です。実際に当事者として経験した私たちは、不妊症から恐怖心を取り除くという使命を果たすため、エランザ・ウェルネスを設立しました。

業界の現状&サービスでの対応

エランザは、データ、テクノロジー、心理学、そして最新の生殖科学を活用することで、柔軟な治療環境を提供し、人々が自分自身の状況を改善し、メンタルヘルスのサポートまで受けられることで、最終的には世界中の不妊症の減少に貢献します。

エランザのコーチングプラットフォームは、認定された不妊治療コーチとの1対1のテキストコーチングと、デジタルコンテンツやワークショップを組み合わせて使用し、教育、サポート、カウンセリングを最も適切なときに提供します。

妊孕性(妊娠のために必要な能力や機能性)を27%向上させるライフスタイルの改善に関する最新の研究結果、自ら治療を受けた経験を持つセラピスト、そして親友のように最も共感してくれる不妊治療専門医。この全てを組み合わせることができるとしたら素晴らしいとは思いませんか?

多くの人が人生で最悪の経験と呼ぶ不妊治療を、どのような過程だとしても、積極的に、そして予防していく形にかえていくことができる、偏りのない不妊治療コーチを提供します。

エランザは、オンラインまたは不妊治療専門クリニックで申し込むことができますが、雇用主の健康保険の一部として費用を負担してもらうことも可能です。従業員の6%が不妊に関連した憂鬱や不安に悩まされており、3%が自殺願望を持っているという事実から、企業は従業員にウェルネスとメンタルヘルスのサポートを提供することで、高額な急性期治療に待ったをかけられるだけでなく、多様な選択肢を持ちそれぞれの価値観に基づいた職場に成長することができるのです。

登録すると、認定された不妊治療コーチとマッチングされ、リプロダクティブ・ヘルスの向上に向けて、1週間ごとに個別化されたプランを受け取れます。週に一度、テキストベースのコーチングセッションが行われ、デイリー・ツールとサポートにより、行動の変化を持続的に実感できます。

特に、心理学に基づいたコーチングのフレームワークは、CBT(認知行動療法)のツールに基づいて構築されています。CBTは、とても大きな問題を小さなパーツに分解することで、よりポジティブな方法で問題に対処できるようにすることを目的としており、物語療法も含まれています。認知行動療法では、自分自身にレッテルを貼ったり、自分を「壊れている」「問題である」と考えたり、自分の置かれている状況や行動パターンに無力感を抱かないようにすることが重要とされています。

サービスの未来

近い将来、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、子宮内膜症、子宮筋腫、精子の数や質の低下、卵巣予備能の低下など、生殖医療に関連する他の問題や、選択的なシングルペアレント、LGBTQ+など、様々な家族計画に関するコーチングを行う予定です。

柔軟でマルチプラットフォームなコーチングにより、リプロダクティブ・ヘルスケアの新しいパラダイムを作ることができます。私たちと一緒に、不妊治療から恐怖心を取り除いてみませんか。

(取材=宮尾卓志 写真=ELANZA Wellness)


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