BOPISのリーディングプロバイダーを目指す【ミッチェル・ニキティン/Via.Delivery社】

Leader's Info

ミッチェル・ニキティン氏はオンラインで購入したものを実店舗で受け取れるサプライチェーンを提供するヴィア・デリバリー社(サンフランシスコ)の創業者。

同氏は米国、スイス、ノルウェー、ロシアに勤務したグローバルな経験と、 物流、小売、eコマース、IT分野でCEOなどの役職についた経歴を持つ。マネジメントおよびサプライチェーンの学位(EMBA、MIB)とエンジニアリング(ITおよび光ファイバー)の学位を有し、元レーシングカー・パイロットでもある。

Leader's Viewpoint

スタートアップ創業のきっかけ

ヴィア・デリバリーが現在のように発展する5年前、私は共同創業者のオルガ・ニキティナと共にミールキット(食材とレシピが一緒になった献立セット)のデリバリー会社を始めました。多くのフィードバックでわかったことは、いつも家にいるわけではないので、家に直接食事を届けるのが必ずしもお客様にとって便利ではないということでした。

お客様から「近くのスーパーやコンビニエンスストアでミールキットを受け取ることができないだろうか」という声が寄せられました。私たちはそれを試してみることにし、Vkusvillという1,000店舗規模の食料品チェーン店に導入しました。最初の結果は大成功で、すぐに24%以上のお客様が「オンラインで購入して店舗で受け取る」という新たな手法を利用してくれました。また、食料品チェーン店にも人通りが増えたことを喜んでいただけたのです。

私は6年前に物流会社「A-Motion Logistics Solutions」を設立・運営してきた経験を活かして、このオペレーションの物流面でさらなるイノベーションを起こせるのではないかと思案しました。食料品店やコンビニエンスストア、薬局などでは、物流センターやトラックなどの輸送資産を含め、高度な独自の物流インフラを構築している場合があります。

そこで考えたのは、既存の物流ネットワークを活用し、費用対効果の高い配送方法を実現できないかということでした。このアイデアをX5リテールグループという小売店でテストしたところ、従来の輸送手段に比べて輸送コストを40%も削減するという成功を収めました。この時から、D2CブランドにBOPIS(Buy Online Pickup In Store)の配送オプションを提供するリーディングプロバイダーになることを決めたのです。

業界の現状

アマゾン以外のオンラインストアは、589億ドルのEコマース市場の半分以上を占めています。カートの63%が放棄されており、その主な理由は高い配送料です。その結果、純粋なEコマースでは1,500億ドルの損失が発生しています。現在、BOPISオプションは、eコマース市場全体の5倍の速さで成長しています。

サービスの価値

私たちはオンラインショッピングの利用者に、地元のコンビニエンスストア、薬局、ガソリンスタンド、携帯ショップなどで注文品を受け取り、送料を最大80%削減するという、もう一つのオプションを提供します。

私たちは、Amazonプライム配送をAmazon以外のオンラインストアにも提供しています。B&M(イギリストップの小売ストア)店舗を集荷場所として利用するだけでなく、既存の小売店の流通ネットワークや倉庫を活用することも重要です。B2BのSaaS型マーケットプレイスであるヴィア・デリバリーは、純然たるEコマースが複数のB&M小売チェーンと統合することを可能にし、手軽に利用できる全国的な「Buy Online Pickup In Store」配送オプションを実現します。

サービスの未来

当社は5カ国に集荷拠点を構えていますが、現在の主な焦点は米国市場を開拓し、当社のサービスを全国展開することです。また、大手小売業やEコマース、物流業者とのパートナーシップにも大きな可能性を感じています。

(取材=宮尾卓志 写真=Via.Delivery)


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