若い雇用を守る【サイード・アルファジー/AnaMehani社】

Leader's Info

サイード・アルファジー氏とマハー・アラホミ氏は将来の雇用主と幅広い専門分野の労働者を結びつけるマーケットプレイスを提供するアナメハニ社(エジプト)の創業者。2015年にこの会社を立ち上げたサイード・アルファジー氏は、起業家の強固で安定したネットワークを構築するためには、スタートアップを取り巻く環境を整えることが不可欠だと言う。

共同創業者Maher Alrahomi

Leader's Viewpoint

スタートアップの意義

私は自身を社会起業家と位置づけます。2017年、私がイエメンでスタートアップ事業をしていたとき、従業員の一人が空爆により近隣の都市で亡くなったという知らせを受けました。その1年ほど前に特に大きな空爆があったとき、私は街にいました。破壊された家、走る少女、路上の死体を目にしました。

故郷を離れても、家に戻れる保証はありませんでした。私は空爆を生き延び、多くの友人を失いながらも、首都サヌアで求人プラットフォームの構築を続けていました。

戦争が終わっても、私の会社は成長を続けていました。12人の従業員は、攻撃を受ける危険性があるにもかかわらず、私たちの雇用プラットフォームに労働者を登録するために街に出て、労働希望者を見つけてくるのです。私にとってのスタートアップとは、そのくらいの覚悟でやるものだったのです。

サービスにより、若者の未来を守る

イエメン国外のビジネス会議に出席しようとすると、ビザの問題に直面し、参加ができないことも多いです。私は成功への扉を開くための多くの機会を失ってきました。だからこそ、若者にはチャンスをものにしてほしい。そのためには育成が必要であり、育成には投資が必要です。

現在はエジプトに拠点を移していますが、社会起業家としての志は変わっていません。失業中のアラブの若者たちは、簡単な方法で仕事の機会を提供する私たちのプラットフォームのアイデアに惹かれ多数参加します。理念への共感から、アナメハニの一員になる従業員も多くいます。戦争が絶えない中、若者の雇用を生み出し続けることが、アラブの未来を築いていくと信じています。

(取材=宮尾卓志 写真=AnaMehani)


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